1月24日、東京・中央区の日本橋社会教育会館にて、自身の長年の研究成果をまとめた『そば学』(柴田書店)を上梓した、農学博士・信州大学名誉教授・日本雑穀協会特別顧問の井上直人氏による『そば学』出版記念講演会が行われた。
同著の編集を担当した柴田書店の斎藤立夫氏は「『そば学』は井上先生の約40年に及ぶ研究成果の集大成として企画がスタート。井上先生はそばについて、『作物』と『食べ物』の両方の視点からお話しすることができ、テーマと切り口も幅広い。本著はこれまで雑学として受け止められてきたものを、様々な学問を取り入れて体系化した一冊。色々な形でそばに携わる方々に興味をもって読んでいただけたら」と挨拶。
続いて日本雑穀協会会長・倉内伸幸氏も「井上先生は様々な分野をとことん突き詰めた。『そば学』はその集大成」と同著を説明。
井上氏の講演は「『そば学』出版のいきさつ」、「ソバのきた道」、「ソバの神秘的力」、「おいしさを左右する『環境と品種』」、「おいしさを左右する『収穫と加工』」、「そばのおいしさとは?」、「ソバ食品のデザインの意味」と『そば学』のトピックに沿って進められた。「五感を使ってそばを感じ、第六感を使って想像することで自由な発想を」と冒頭で述べた井上氏の語り口は非常にユニーク。それぞれのトピックについて農学、民俗学、心理学、工学等を絡めて、多義的にそばを語った。
食べ物としてのそばに留まらない講演内容は、単なるそば好きにも、様々な形でそばに携わる仕事をしている方々にも、たまらないものであっただろう。そばのことを知れば、よりそばを楽しむことができる。あなたのそばに対する視野と価値観を拡張してくれる『そば学』、是非手に取ってみてはいかがだろうか。