江戸ソバリエ協会特別講話「江戸蕎麦の誕生 〜江戸蕎麦を世界文化遺産に〜」開催！
投稿日時 2025-02-06 11:55:05 | カテゴリ： 最新ニュース一覧
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2月5日、東京・中央区日本橋にある明治座で江戸ソバリエ協会（理事長／ほしひかる）の特別講話「江戸蕎麦の誕生 〜江戸蕎麦を世界文化遺産に〜」（以下、特別講話）が開催された。特別講和には70名超が出席、その中には文化庁の�盒彊貔�参事官（生活文化連携担当）の姿もあった。主催は一般社団法人日本食生活文化財団（理事長／三田芳裕）。同財団は食生活文化の向上発展に寄与することを目的に、各界の食文化や伝統技術を広く伝えるためのイベントを定期的に開催している。特別講話の趣旨となる江戸蕎麦だが、現在世界で人気を博している日本そばの標準。我国におけるそばは、室町時代には食されていたが、本格的に食べるようになったのは1600年代の江戸時代初期頃。いまに続く江戸蕎麦はまさに将来に継承し誇るべき食文化であり、世界文化遺産に登録される価値があるといえる。
特別講話の内容は「講和」「実演」「実食」の3本立て。まず講和は「江戸蕎麦の話」と題し、江戸ソバリエ協会理事長のほしひかる氏（写真１）が、そばの誕生から江戸蕎麦発祥等について話した。また、江戸初期にそば屋を含めた外食店が誕生したことに触れた上で、「日本式蕎麦打ちの標準化」として江戸蕎麦の特徴である細打ちの二八や蕎麦切の蕎麦八寸（24cm）、つゆに付けて食べる文化等、江戸時代のそば事情を語る。さらに（当時の）武蔵で採れるソバの実や薬味を始め、江戸時代に生まれた「鴨なんばん」「おかめ蕎麦」等のつくり方、そば打ち道具やそばを盛り付ける“ざる”等、そばのつくり方を中心に食器、食べ方、食材、道具が連動した「食の構造」についても言及。最後にほし氏は「付けて食べる江戸蕎麦を世界の文化遺産に」といい、講話を締めた。
次に「実演」では、一般社団法人全麺協の副理事長で、江戸ソバリエ・ルシック講師の資格を有する横田節子氏（写真２）が「水回し」「練り」「地延し」「畳み」「切り」までの工程を説明しながら江戸蕎麦式のそば打ちを行った。横田氏のそば打ち実演で感じたのは、女性や子どもでも興味を持ち「そばを打ちたい」と思わせる内容だったことだろう。子どもでも理解しやすいよう横田氏は、3種類の動物に例えて手の使い方を紹介。水回しの時にそば粉の粒を通り抜けさせるために指の間隔を広げる“熊の手”、麺棒を使った地延し作業では手のひらを丸めた“猫の手”、切りの作業では駒板を抑える際に親指と中指、薬指の先端を重ねる“狐の手”の3種類を披露して見せた。また横田氏は、「（水回しの際に）手についたソバ粉の生地は、こまめに取ります。手に付いた生地をそのまま使うと体温で混ざりにくくなり、切りの工程に影響が出るためです」「女性は男性に比べ腕力がないので、練りや延しの際は体全体で体重をかけて作業をすると効率がいいです」「地延しは均一な厚さに、できるだけ真円になるよう丁寧に延します」等、技術と経験、女性ならではの視点も踏まえてわかりやすく解説し、切りまでのそば打ちの工程を終えた。実演終了後に横田氏の打ったそばを見る機会が設けられた。そば（写真３）を確認してみると麺幅は細く、長さも均一と、全麺協の最高位「そば道6段位認定」の妙技に多くの出席者が感嘆していた。
最後の「実食」は、出席者が江戸ソバリエ、ワテラス神田そば研の方々（写真４）が打った江戸蕎麦を食べながら、ほし氏、横田氏の2人に対して質問が行われた。和テラス神田そば研が提供したそば（写真５）は、せいろとつゆ、薬味（ネギ、ワサビ）の江戸蕎麦流。そばは角が立っていて啜りやすく、噛むとそば特有の甘味と粘りが口の中に広がった。多くの出席者がズズ〜と音を鳴らす江戸蕎麦の粋な食べ方を実践していた。質疑応答では、出席者がほし氏、横田氏の2人にそばの茹でや切り、江戸蕎麦のつゆのつくり方等、悩んでいる部分や疑問に感じたことをぶつけた。また、ほし氏のそばのルーツや江戸ソバリエ発足の契機、横田氏がそば打ちを始めたきっかけ、いまもそばを打ち続けるモチベーション等、普段では聞けない貴重な話もされた。
今回の特別講話は、改めて江戸蕎麦が世界に誇るべき日本の食文化だと感じさせるものだった。江戸蕎麦が世界文化遺産に登録されることを切に願う。
    
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