その土地にしか出回らない「在来種の新蕎麦」を楽しむ 写真・文=片山虎之介 新そばの季節がやってきた。 はるばる遠い産地に足を運ばなくても、 うまい新そばを取り寄せることができる。 輸送技術が発達した現代の恩恵を享受して、 うまいそばを味わいたい 新そばの季節だ。新そばは大きく分けて、夏に出る「夏新」と、晩秋に出る「秋新」がある。 夏の新そばは、北海道等で収穫される夏そばが使われる。 「秋新」は主に、本州等で栽培される在来種等の秋蕎麦で打たれる。江戸の昔から夏新よりも秋新がうまいとされ、そば好きの江戸っ子は、秋の新そばが出るのを、首を長くして待ったものだった。 輸送、冷蔵技術の発達した現代は、自宅にいながら、遠い名産地の秋新を味わうことができる。それを取り寄せて味わってみたい。取り寄せだと、そばを打ってから手元に届くまで、少々時間を要する。そばは「打ちたて」がうまいという説もあるが、江戸そばの伝統では、打ちたてを茹でるのは、薦められないこととされている。包丁切りしたばかりのそばは「包丁下」と呼ばれ、しばらく寝かせてから茹でるのが、常識だ。ある程度時間を置いたほうが、粉と水がしっくりよくなじむのだ。 この後、紹介する店は、いずれもそばの産地に根をおろし、うまいと評判の名店ばかり。1年に1度のそばの旬「秋新」を、そば好きなら、ぜひ、味わっていただきたい。 Page1こそば亭(新潟@妙高市) Page2蕎香 (栃木◎下都賀) Page3そば蔵 谷川(福井◎越前市) Page4一風庵(島根◎仁多郡) ≪取り寄せた蕎麦の茹で方≫ |