「名物女将」の心意気を伝承

女性のそば打ちが珍しかった時代、苦労しながらそば屋を開業した女将。その、女将の心意気から出汁の取り方までを受け継いだそば打ち職人が支えている。焼き鰹の本節を一時間半かけて旨味を引き出した出汁。季節折々のそば粉を厳選し、限定で出す十割と、喉ごしのよさを重視した二八がある。

「裁ちそば」を提供する山間にある旅館


標高940mの山間にある温泉旅館。檜枝岐の伝統的な製法で、布を裁つように切った「裁ちそば」は、つなぎを一切使わない、太くて黒っぽい田舎そば。そのほか、そば粉を使った「つめっこ」「はっとう」等、檜枝岐のそば料理が楽しめる。

豪快な「冷し祝そば」


店主の姓が「祝（ほうり）」。佐渡には多い姓で、出雲から来たといわれている。「冷し祝そば」は、卵焼き、かまぼこ、トマト、キュウリ、ワカメ、海老がのった、色とりどりで豪快な。

趣味が講じて脱サラしたそば職人


店主は郵便局員時代に、休日を利用して佐渡から群馬・前橋のそば教室に通ってそば打ちを修得した。2005年2月に開店。「蕎麦ぜんざい」「蕎麦稲荷」等の工夫をこらしたメニューがある。写真は夏期限定の「冷し蕎麦」。冷し中華と同じ具材がのっていて、さっぱり食べやすい。

素朴さがうけて予約で満席


200年続く老舗だが、1904年の大火の後、3階吹き抜けの京風建築に建て直した。1杯で半人前くらいの「七右衛門そば」は、2〜3人前を注文する客が多い。12時過ぎると予約で満席。昔からの出前も続けている。

そば職人歴40年の店主


そば職人歴は40年ほどになるが、焼物や絵、釣り等が得意で多才な店主。海の目の前に店を構え、「イカポン」「合わせサヨリ」等、肴のメニューも充実している。写真は自慢の「ざるそば」と「天麩羅そば」。